片恋。
YesでもNoでも、俺は受け止めてやる。
…でも、タイミングがなかなか掴めないんだよなぁ。
と、ケータイの着信音が鳴り響いた。
「誰…?」
〝榊 瞬(さかき しゅん)〟
瞬か…。
自分たちが暮らしてきた場所を思い出す…。
懐かしいな。
また、夏休みとかに帰ってこよう…。
瞬は、俺の家の隣に住んでる、昔からの幼なじみ。
何回呼び捨てはやめろって言っても、
「えま、えまっ」
って無邪気な笑顔で話しかけてたっけ。
「は〜い、えまで〜す」
「久しぶり、えまっ!最近、そっちはどうなん?」
瞬の声が、俺を懐かしい気持ちにさせてくれる。
「あ〜?ふつーじゃって」
「ふ〜ん。なんか、だ〜いすきな幼なじみがおるんじゃなかったっけ?」
くく…とその後に笑い声も聞こえる。
俺のことをからかっとんかな、こいつは。
「や…可愛すぎて、俺死にそう」
やべ…顔赤くなったの、自分でもわかる。
「…聞いとる俺が恥ずいんじゃけど」
ためらいがちに返ってきた声。
「う、うっせ〜!ほんまのことじゃもん、しゃあないじゃろ」
「青春してんな〜。どこが好きなん?」
「っ…おえん‼︎お前まじおえんから!そんなんゆうわけないじゃろっ」
くっそ…瞬のやつからかってやがる。