森の迷いグマ
 急な坂道も、高い橋も、全然怖くなくなりました。クマさんが優しく励ましてくれたおかげです。

 それにクマさんはとても強く、狂暴な狼達をも追い払ってしまうぐらいでした。

 クマさんは自分でも驚いていました。

『僕……戦ったこともないのに、自然と体が動くんだ』

『もしかして……記憶がなくなる前は、強いクマさんだったのかな』

『そうかもしれない。
 記憶がなくても、きっと、君を守りたいと思う気持ちが、僕のチカラを引き出しているのかもしれないね』

 女の子には、それがすごく照れくさく感じました。

 気づけば女の子は、強くて優しいクマさんに恋をしていました。
< 12 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop