【完】喋れない可憐な華~番外編追加~
「愛華!大丈夫だ!俺がいる!!
ゆっくり息を吸って…吐いて…」
男の人は私の肩をさすりながら落ち着かせようとしてくれてる。
優しいんだね…。
「そうそう。
ゆっくり。」
息を吸って…吐いて…。私は何回も繰り返した。
次第に落ち着きを取り戻していった。
「大丈夫か?」
私は静かに頷いた。
ありがとうって言いたい。
でも言葉が出ない。
なんで?
やっぱり喋ることは許されないんだね。
その"汚い"声で俺を名前を呼ぶな!
その目で見るな"気持ち悪い"んだよ!!
脳内に声が響く…。
そうだ、目…っ!
前髪は!?
目を隠す為のっ!本当の私を隠す為のものは!?
私は左目を隠した。
「愛華…?
大丈夫だから…怯えないでくれ。
俺はお前を切り離したりなんてしない。
お前の目は綺麗だ。」
名も知らない男の人が悲しげな瞳でこちらを見る。
なんでそんなに優しいの?
私は綺麗なんかじゃない。
汚れてる。
貴方のそんな顔見たくない。
私は貴方の笑顔が好きなんだよ…。
そして私は意識を手放した。