生きる。




「湊さん。」


「おう、雄か。久しぶりだな。」


「あ、雄じゃん。帰ってきたか。」


湊と爽が言った。


「由茉、こいつ雄(ゆう)。

桜ヶ丘の1年だ。

夏からオーストラリアに留学してて

年末帰ってきたんだ。」


「来るの遅くてすみません。」


「いや、いいよ。お疲れな。」


「姫…ですか?」


「あぁ。由茉だ。」


湊が紹介してくれた。


「お久しぶりです。由茉さん。」


「…え?どこかで会ったっけ…?」


「…忘れちゃった?由茉。」


雄くんは私にそう言った。

あれ…この感じ…なんだろ、懐かしい…この笑顔…


「由茉。」


雄くんはもう一度私を呼んだ。

んー…雄…雄…ゆう

……あ!


「雄!思い出した~!」


「久しぶりだな。」


「うわー久しぶりー。

面影少なすぎ!わかんなかったよー。」


「二人知り合い?」


私たちが話していると爽が聞いてきた。


「雄はよく昔うちにきてたの。

飛鳥に連れられて。」


「あ、俺弟なんです。飛鳥の。」


「「「「弟!?」」」」


「あれ、みんな知らなかったの?」


みんなが驚いていた。


「俺が言わないように頼んでたんだよ。

飛鳥の弟としてじゃなく、俺を見てほしくて。」


「あーなるほど。

ってか雄が俺とか言ってるのなんか変。」


「俺もいつまでもガキじゃねーから。

ってか由茉が姫の方が驚き。

まああの二人の妹だからわかんなくはねーけど。

ってか由茉こそいつ帰ってきたんだよ?」


「私は夏に。2学期から桜ヶ丘の2年に編入。」


「へー。あんときガキで由茉のこと知らなくて

急にいなくなってびっくりしたんだからな。」


「ごめんごめん、急なことだったしさ。」


「治ってよかったな。おかえり。」


「ありがと。…ただいま!」


なんだか雄が大人びた。


「雄、あんま由茉独占してると湊に殺されるぞ。」


そう言ったのは颯だった。


「あ、すみません!俺もう行きますね。

由茉、またな。」


「うん、またね。」


雄はそう言うと走っていった。

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