明日へのヒカリ


カメラの中に写っているみんなを見て、母さんはとても嬉しそうに、だけど、とても悲しそうに微笑んだ。

そして、カメラを持っていた手に、力が入らなくなったのか、カメラが布団の上に転がった。


そんな母さんの優しげな瞳から、ポロリとひとつ、涙が落ちた。


「みんな、ごめんね……」


泣かないって決めていた私の瞳から、涙がポロポロと流れた。


嫌だ……、嫌だよ……。


母さんは、力の入らない手を懸命に動かして、赤ちゃんをそっと撫でる。

するとその子は、穏やかな顔で笑った。


幸せそうにその子を見たあと、母さんはみんなに言った。


「この子の名前はね、『優太』にしようと思うの」


母さんは、そう言うと、「優太、生まれてきてくれて……、ありがとう」と、涙ながらにそう言った。


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