明日へのヒカリ
そして母さんは、再び父さんに向き直る。
「聖……」
「優美。もう、それ以上何も言わないでくれ……」
父さんはそう言いながら、母さんの手を、壊れ物を扱うかのように優しく、そっと握った。
そんな父さんを見て、母さんは優しく笑った。
そして……
「今までありがとう。愛してる」
母さんはそう言うと、静かに目を閉じる。
そして、父さんが握っていた母さんの手は、力なく父さんの手から、するりと抜け落ちた。
母さんが、死んだ……。
あの優しい母さんは……、もう、いない……。
母さんの顔は、とても安らかで、今にも起きてきそうな顔だった。
夢でも見ているかのようだった。
夢で……ありたかった……。
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