明日へのヒカリ


私がそう言うと、ぶつかった人は、しまった……、というような、微妙な顔をした。

私は、不思議に思いながら、その人から、そっと視線を外した時、あるものに目が止まった。

それは……


「三神……聖……って、まさか、優太の……」


私は、目に止まったプレートを見てそう言うと、聖さんは、「あぁ、そうだ」と一言だけの返事をくれた。


「あの、今日は優太の誕生日ですよね? どうして……」


私がそこまで言うと、聖さんの眉間に、軽く皺が寄った。


「ここではなんだ。場所を移そう。……ついて来なさい」


聖さんは、必要最低限の言葉だけ、口から出すと、スタスタと歩き出した。

私は、緊張する心を落ち着けながら、足を一歩、踏み出したのだった……。


< 292 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop