明日へのヒカリ
礼央side
勢い良く駆けていく少女を一人で、見えなくなるまでずっと見続けた。
そして俺はそのままの状態で、この一連の流れをずっと見ていたであろう奴に声をかける。
「お前、盗み聞きって、イイ趣味してんじゃん」
俺がそう言った今、あいつはきっと、バレてないと思ってたから、肩を跳ね上がらせているのだろう。
「ほら、もう分かってんだから、呆けても無駄だぞ? ‥‥‥茉莉」
俺がそう言うと、相手は観念したように、「どうして分かったの‥‥」と、少しバツの悪そうな表情を浮かべた。
「なんで盗み聞きなんかしたんだ?」
「いや、これはほんとに偶然で‥‥‥」
茉莉は、左手を首に当てながらそう言った。