お前のとなりは俺だから
第一章
帰ってきた!?
「よーし、自己紹介しろー」
担任の先生が転校生に向かってそう言う。
転校生は素直に、だけど愛想の1つも振りまかずに
「伊藤 皐月。よろしく」
と、そう言った。
ガタタッ
しかし、転校生が名前を言ったところで、椅子が倒れる派手な音が、教室を包んだ。
その椅子に座っていた私は今、転校生を指差して突っ立っている。
「あ、あんた‥‥さ、さささ皐月!?」
私は、目を大きく見開きながら大きな声でそう言った。
なぜ私がこんな反応をするのか。
それは……
小学校の低学年のときに転校していった、
“一番仲良し”だった“ケンカ友達”が帰ってきたからだ。
「おい維吹ー、勝手に立つなー」
先生がそんなことを言っているが、私はというと、左から右へと流れ出ている状態だ。
そして、相手も私のことを覚えていたのだろう。
大きく目を見開きながら、
「……か……夏菜……」
……と、数時間前の皐月との会話を思い出す。