お前のとなりは俺だから
無事にスリッパを借り、教室へと入る。
「ほんっとに家だと思う?」
未だに腑に落ちない私は、さっきから同じことを、楓に聞きまくっていた。
「……夏菜、あんたしつこい」
「いや、だってさ〜」
私がブーブーと楓に小言を言っていると、教室の扉が開く。
「おー、皐月おはよー」
「はよ」
……昔からコイツ、朝は弱い。
「変わってないねー」
楓も同じことを思ったらしく、二人でクスクスと笑っていた。
「皐月くぅ〜ん、おはよぉ〜」
という、西原の声が聞こえてきた。
「なんだろ。さっき、舌打ちが聞こえたのは気のせいかな?」
私がそう言うと、楓もコクリと頷き、「私も聞こえた。幻聴じゃないらしい」と言う。