お前のとなりは俺だから


「夏菜、どこに行ってたの。心配したじゃん」


楓にそう言われて、「ごめんね」と笑う。

そこでふと気づいた。


「あれ、皐月は?」


私がそう聞くと、楓は興味なさそうに、「あー」と声を出す。


「アレだよ、アレ。喉乾いたって、いちごオレ買いに行くって言ってたような気がする」


皐月は昔から、顔に似合わず、いちごオレが大好き。


「アレを飲むから喉乾くんじゃないの?」


私がそう言うと、「絶対そうだよねー」と言いながら、楓も笑った。


「喉乾いてんのは、いちごオレのせいじゃねーし」


と、急に後ろからそんな声が聞こえてきた。

後ろへと振り返ると、いちごオレのストローを口に咥えた皐月が立っていた。


いい加減、その登場の仕方はやめてほしい。


「おー、キチガイおかえりー」

「誰がキチガイだ、この変人」


楓の言葉に、速攻でツッコむ皐月。


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