お前のとなりは俺だから


驚いて声を上げた私に、楓が言う。


「いやー、お腹空いたから、買いに行っててー、ミルクティーがあったから、ついでに?」


そう言いながら、楓はお菓子をつまみながら、「夏菜、ミルクティー好きでしょ?」と言った。


「あ、皐月、お菓子欲しい?」


そう言いながら、楓は、皐月に差し出した。


「いらねーよ」


皐月はいちごオレをズズッといわせながら、そっけなくそう言う。


「あらそう。……んー、おいし〜。あー、おいし〜。いらないの、いらないの〜?」

「……やっぱ、いる」


そう言いながら、少し不貞腐れたような皐月の顔。

楓は楓で、してやったりの顔。


そんな二人の顔を見ていると、なんだか泣きそうになる。


「え、夏菜、なんで泣いてるの」


そう言いながら、笑う楓。


「相変わらず、泣き虫だな」


そう言いながら、笑う皐月。


「ゔぅ……。二人とも、ありがとーっ」


二人に慰められながら食べるクリームパンは、なんだかしょっぱくて。

だけど、今まで食べたクリームパンよりも、なんだか美味しく感じたのだった。


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