お前のとなりは俺だから
皐月は、それだけを言うと、私を放ってどこかへと行ってしまった。
「……皐月?」
私がそう呼んでも、皐月は一切反応せずに、一度もこちらを振り向かずに、スタスタと歩いて行ってしまう。
「……私、怒らせるようなこと……したかな……?」
―――――………
―――……
「ブハッ! えっ、それ本当!?」
そう言いながら、私の目の前で大笑いしているのは楓。
「なんでそんなに楽しそうに笑ってんのよ……」
こっちは、昨日から気分は最悪だ。
「親友だって思ってたの、私だけだったのかな……」
「いやー、あの皐月がねぇ〜」
楓は、未だにクスクスと笑っている。
今は放課後。
私は、皐月のことを相談するために、楓と、とあるファストフード店へとやってきていた。
いや、相談なんて、そんなキレイなものではない。
ただただ、この恐怖心を和らげるため。
今まで、なんだかんだ言いつつも、私たちは、昔から仲が良かった。
気付いたら、いつも一緒だった……。
……だからこそ、怖いのだ。
皐月から拒絶されるのが、……怖い。