お前のとなりは俺だから
「皐月ぃ〜」
皐月と喋れているという事実に、感動して泣きそうになる。
「もう喋れなくなるかと思ったよーっ」
そんな私の反応を見て、「キモチワリ」とつぶやいた皐月。
その言葉を聞いて、我に返る私。
「……」
私は、皐月を置いて、スタスタと歩き出した。
「何怒ってんだよ」
「別に怒ってないし」
「怒ってんじゃねーか」
「怒ってないってばっ!」
そんな言い合いは、靴箱のところまで続いた。
初めのこととは関係のないことまで、お互いが引っ張りだすところまで発展していた。
「人に鈍くさいとか言いながら、その直後に石に躓いて転けたのはどこのどいつよ!」
「そんな俺を見てバカにしながら、1人で爆笑して、その直後に転けたやつが、何を抜かしてんだよ!」
「はぁ!? そんなことしてないもん! 皐月の記憶違いですーっ!!」
「こんなアホな事すんの、お前くらいだろ! 忘れるわけねーよっ! 記憶違いなんて、ゼッテーありえねーっ!!」