始まりの笑顔、終わりの笑顔【ぎじプリ】
***
「おはよう!」「おはようございます!」

僕は、みんなと挨拶を交わす。朝一で元気な顔もあれば、眠そうな顔も…

でも、この中に彼女はいない。彼女が出勤してくるのは─

「お疲れ様です!」

いつもの優しい笑顔。その後に、フッ!と短く息を吐く。彼女の癖。

気持ちを、仕事モードに変えているそうだ。

「12時55分。今日は余裕だね」

そう声を掛けると、眉尻を下げながら笑う。

「いつもこうでなきゃね。わかってるんだけど、あれもやってから、これも片付けてから…なんてしてると、ギリギリになっちゃうの」

彼女に出会ったのは、もう3年前になるかな。

季節が冬へと近付く、11月だった。

自宅で子育てをしていたが、子どもを保育園に預け始めて、久々の社会復帰だと、不安そうに笑ったね。

午後1時から4時までの、一日3時間。それが、パートタイムで働く君と、僕が一緒にいられる時間。

「…あれ?」

「そんなに、肩に力を入れなくても大丈夫だから。軽く…でいいんだよ」

< 1 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop