始まりの笑顔、終わりの笑顔【ぎじプリ】
「ごめんなさい!こんな所にも、不器用が出ちゃうなんて。私が知っているものと少し違うから…」

「すぐに慣れるよ」

最初の頃は、よくそうやって励ましたね。

ちょっと…いや、ほんとは結構年上だけど、一生懸命な君を、可愛い…と思ってしまった。

午後4時15分。

「お疲れ様!」

声を掛けると、君はフニャリと笑った。

「お疲れ様です!」

疲れているような、それでいて、ホッとしたような、そんな気の抜けた笑顔も好きだ。

「お先に失礼します!」

君の後ろ姿に「また明日…」そっと呟いた。

それから、いろんな君を見ていたよ。

「お疲れ様です!」

「お疲れ様です。なんか、今日いつもと雰囲気違う…」

「わかります?午前中、参観日だったから、そのまま来ちゃったんです」

フレアースカートを、ヒラリと揺らしながら、君は恥ずかしそうに笑った。

正社員には制服があるが、パートの君は、いつも私服だ。

ブラウスに、黒の細身のパンツ、カーディガン、というのが君の定番だ。

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