悲しみに、こんにちは4


土曜日の昼時のためか
カウンターはほぼ満席状態。
仕方がないので、私たちはテーブル席に座った。

はい、味噌ラーメン、一丁!!
とハチマキを頭に巻いた店主の声が店内に響く。



「うわー、美味しそう!!」


「先輩、よだれ出てます。汚ねえ。」

「出てねえーし、ってか言葉汚い。
私を敬え。」


「……先輩には言われたくないんですけど……」


間も無くして、入家君が頼んだ醤油ラーメンもテーブルに届いた。


「……ふう、それではいただきますか」


私は割り箸を彼に手渡した

「先輩、マフラー取らないんですか?」


「あっそうだそうだ、染みついちゃうね」


私は首に巻いたマフラーを取り、椅子の背もたれに掛けた。


「ヴィヴィアンウエストウッド (Vivienne Westwood)のマフラーなんて、以外とオシャレなんですね、先輩」



「ふふ、まあね。ずっと被ったことないの」



「ずっと?そんな前から使ってるんですか、そのマフラー?」



「うん、中学生の頃から」




「買い換えないですか?」





「うん、気に入ってるの」




「……ふーん、もしかして……」



入家君がいきなり黙り込んで何か考え出す。



……何考えてるんだろう?




「なに?」



「……いや、なんでもないです」


どうも機嫌が悪くなったようだ。
……私は何かしたのか?



「なによ」


「なんでもないです。」



「怒ってんじゃん。」




「別に。ラーメンのびますよ。」


……ったく、誰の所為だよ。まったく。
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