悲しみに、こんにちは4
クリスマスまで残り一週間。
俺が住む家、つまり入家宅にあの男がやってきた。
「いらっしゃい、春海君。」
「ああ、邪魔するよ」
背の高い例の男にとって、この家の造りは合ってないみたいだ。
潜るようにリビングに入ってくる。
「ああ、弟君、いたんだな。」
「そうなの、ごめんね。」
……ここは俺の家で、休日に家にいることがなぜ、ごめんね なんだ?
長門 春海がソファでテレビを観ている俺に近づく
「よう、久しぶりだな?」
「……こんにちは、長門さん……」
「ああ。元気か、ユズキは?」
当たり前のように 二言目は先輩の話。
「……会ってないんですか?」
「……毎日、会うわけじゃねぇよ。オレ、バイト忙しいし、なあ?」
知るかそんなこと……
……っでも、会っては無いのか、先輩と……
「……元気ですよ。」
「ふーん、変わってなかったのか。」
どういう意味だろう?
確かに、俺は先輩に告白したわけだし変わったと言えば変わっている。
でも、それは俺に対する態度なわけで。
長門 春海は関係ないはず。
それとも、長門 春海に言ったのだろうか?俺が告白したこと。
ふーん、ありえない話じゃないが、
先輩は言うかなあ?そういうの。
「何話してるのー?」
姉の呑気な声がキッチンから届いた。
どうやら、お茶を入れていたみたいだ。
「なんでもねえよ。」
そう言いながら男は俺から離れて
ダイニングテーブルに腰掛けた。