悲しみに、こんにちは4

その日から、俺は芹沢 ユズキを見るようになった。

と言っても、学年が違う彼女とそう簡単に会えるわけじゃない。


木曜の2限。
俺が体育のとき運動場から
移動教室で、渡り廊下を歩く彼女を見る。

芹沢ユズキはいつも、背の高い女と一緒にいた。
芹沢 ユズキの親友なのだろうと思う。




そして、放課後。
校門で大学生の男を待つ。


芹沢 ユズキには他に彼氏がいたが彼らには何とも思っていないのだろう。

俺はすぐに気付いた。
いや、もっと前から気付いていた。

芹沢 ユズキはその男が好きなのだ。
彼女がその男を見る眼は
俺が彼女を見る眼と同じ眼をしていた。


報われない想いに恋い焦がれる眼をしていた。


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