誰か私の話を聞いてください

｢それでね、大事な会議で使う資料にミスがあったから、上司にこってりしぼられたあげく、残業になったってわけ｣

｢そうだったんだね｣


なるべく暗くなりすぎないように、笑顔を作って話すけど、おだやかに相づちをうって聞いてくれるカレに、また私はいつものように話しすぎてしまう。


｢ここのとここんなことばっかりで、私この仕事向いてないのかな。ミスした私が悪いのは分かってるんだけど、なんかへこんじゃって｣

｢そんなことないよ。
君がいつもがんばってること、俺は知ってる｣


口数は多くはないけど、いつもおだやかな笑みを浮かべて、そこにいてくれるカレ。


カレの笑顔と優しい言葉に、なんだかぶわっと涙が込み上げてきて、大人なのに情けないけど、声を上げて泣いてしまった。

わんわん泣く情けない私を、カレは大きな体でしっかりと抱きしめてくれる。


｢最近うまくいかないことばっかりで.......っ。
友達に話しても、あんまり何回も言うとウザイと思われるし。彼氏に話しても、それお前が悪いよね、って冷たい反応だし......っ｣

｢うんうん、つらかったね｣


ポンポンと私の背中をあやすようにたたくカレに、ますます涙がとまらなくなる。