悲しみに、こんにちは5
「……もしもし、先輩??
どうしたんですか??」
今は、夜の10時半。
「……入家君……!助けて!私を助けて!」
「どうしたんですか!何があったんですか!」
「違うの!わからないの!」
「何がわからないんですか!」
「……私が……私がわからない……
私は、今まで何を見てきたの?
何が、真実なの?
わからないのよ……」
「先輩……、やっと気付いたんですね……」
「えっ?」
「ずっと、助けて欲しかったんですよ。
先輩は、ずっと助けて欲しかった。」
「……助けてほしかった?」
「そうです、やっと言えたんですよ。」
「助けてほしかった……」
「そうです。
貴女は……芹沢ユズキは……
強くなんか、ないんですよ。
本当は 誰よりも弱いのに
ずっと 隠してきたんですよ。
その歪んだ 関係の中で
ずっと 守られてきたんですよ。」
「……入家君……」
「俺が……貴女を、芹沢 ユズキを救います。」
「……入家君……」
「……全く、何やってるんですか?
とりあえず電話は切らずに 俺の家に向かって下さい、ね?
俺も先輩、迎えにいきますから、ね?
なるべく明るい道を通ってくださいね?」