悲しみに、こんにちは5
「……ハル君、そのことだけど……」
なんだよ なんて言いながら、彼は漫画をテーブルの上において
私を見た。
「よくないよ、ああゆうの。」
「何が?」
「何って、ハル君にはさくらさんがいるし
私には 入家君がいるし……間違ってるよ!」
「くっくっく」
彼は笑う、肩をすくめながら。
「何がおかしいの?」
「……やっぱり、お前はそういう女だよなあ?」
……そういうオンナ?どんな女の子だ?
「間違ったことは、出来ないよな?」
ハル君が近づく。私に近づく。
「でも、もう手遅れなんだよ。」
ハル君が私の腕を捕らえる。
逃がさないように、
離さないように。
「なんで手遅れなの?」
「……彼氏がいるくせに、他の男の部屋に入ってきちゃダメだろ?」
この男は私を離さない。
私たちは離れられない。
「学習しろよな?だから、喰われるんだぞ。」
二度目のそれは、
甘いもんじゃない。
赦されるわけない。
これ以上、私は犯してはいけない。
彼を、入家 皐月を傷つけてはいけない。