悲しみに、こんにちは5


「わかるか、ユズキ。
オレを選ぶってことはなあ、オレのモノになるってことだ。」


「……ハル君のモノ?」



「そうだ、オレはずっと待ってた。」


長門 春海は彼女を欲していた。



「お前が、オレ好みの女になるのを
ずっと、待ってた」


長門 春海は必要としていた。



「いいか、お前は、ただの怪物だ。
俺と一緒に、地獄に堕ちる運命だ。」


芹沢 ユズキも欲していた。



「……私は、ハル君が……好き。」

「そうだ、お前はオレが好きなんだ。」



芹沢 ユズキはずっと必要としていた。



「だから……、私はハル君を……」



それなのに……



「ハル君を選ばなければならない……、
それが私の運命。」



それなのに、なぜそんなに急ぐ?

芹沢 ユズキは
長門 春海は

何に対して そんなに怯えるんだ?

お前たち怪物が本当に必要としてるのは
いったいなんだ?
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