お届け物です。


玄関には相変わらずの営業スマイルを浮かべた彼女が待っていた。

私は印を押して、荷物を受け取った。
小型の箱のようなものだ。
なんだろう、と不思議がっていると彼女が口を挟んだ。

「お母様と仲がよろしくないのですか?」

不思議なのは荷物だけではなく、彼女もだ。
一体なんなんだ、家族の事に口を挟む郵便屋がいるか。

「ええ、まあ…」

「そうなのですか。」

先ほどよりまして笑顔になる。
なんだか気味悪いな…

「あ、えっとこれから家庭教師が来るので。配達ご苦労様でした。」

本当は家庭教師なんて来ない。
だが、このままいられても困るし。

彼女は私の思いを察したのだろうか、軽く頭を下げて乗ってきたであろう配達車に乗り込んだ。

「変な人…」

彼女がいない今、問題なのはこの荷物だ。

一体何が入っているのか…
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