知らない貴方と、蜜月旅行
そんな〝本音は?〟だなんて言われたら、本音言うしかないじゃんね…。なんか、この人の目に見つめられて聞かれると、なんでも答えてしまいそうになる…。


ドギマギしながら答えると、彼は少しだけ、クスッと笑った。さっきはバカにしたような笑い方だったから、少しだけ驚いてしまった。


「ちょっと、外出てくる」
「えっ、じゃあ私も」
「いい。お前は、ここにいろ」
「いや、でも!」
「……」
「えっと、おとなしく、待ってます……」
「ん」


急に彼が立ち上がり〝外に行く〟と言うから、私がいたら邪魔かと思ったんだけど、無言の圧力で私は留守番をすることになってしまった。


だけどそれは5分もしないうちに、帰ってきてしまい、私の留守番は終わってしまった。そして手に持ってたのは、コンビニの袋だった。


「コンビニ、行ってきたんですか…?」
「あぁ。……ん、食え」
「えっ」


無視されたらどうしようと、ビクビクしながら聞くと意外にもアッサリ答えてくれて、しかも私の朝ごはんを買ってきてくれたらしく、彼を見上げ見つめた。


「なにも食ってねぇだろ」
「あ、はい…。あの、お金!おいくらでしたか?」
「んなもん、いらねぇよ」
「いや、でも」
「いらねぇ、って」
「……ありがとう、ございます…」


きっとこの人に、無理矢理受け取らそうとしても、受け取らない気がして、すぐにお礼を言うと彼も自分の朝ごはんを買ってきたらしく、おにぎりを食べる姿を見て、私もその場で食べることにした。


おにぎりの具は、ツナマヨと鮭と昆布と五目で、きっとどれを食べてもいいように一つずつ選んで買ってきてくれたんだな…と、思った。


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