知らない貴方と、蜜月旅行

「ねぇ、どうしたの？もしかして、俺に会いに来てくれた？」
「いえ…。ごめんなさい…」


そんなわけがない。大変申し訳ないけれど。どうか察してほしい。この私の思い…。


「えぇ？でも、また会えて嬉しいよ！ねっ、今度こそLINEのIDを、イタタタタッ！」
「陽悟、仕事中に女口説くな」
「痛っいな、もう！耳千切れるじゃないですか！」
「はっ、千切れるまで、やってやろうか」
「やっ、嫌ですよー！！」


陽悟さんの猛烈アピール最中、私の一応旦那様の吏仁が登場し、陽悟さんの耳を背後から引っ張り上げた。おかげで陽悟さんは、かなり痛かったらしく、耳をさすりながら吏仁と会話をしていた。


そんな中、横にいた久未が私の腕をツンツンとしてきて、耳元で言う。


「（今度こそ、蒼井さんだよね？）」
「（うん、そうだよ）」


「悪いな。陽悟が絡んで。とりあえず紹介するから、こっち来い。あー、友達も」
「あ、はい。久未、行こう」
「う、うん」


って、紹介ってなんだろう？誰に誰を紹介するの？思わず返事までしちゃったけど、よく分からないんだけど…。


「え、なんですか？！あの、蒼井さん！佐野ちゃんと、どういう関係になったんですか！？」


一方で、一人パニックになってる方が…。そりゃそうだ。こないだ吏仁と、初めましてだったのが、普通に会話をしてるんだから。だけど、吏仁は陽悟さんの言葉を無視して、来た先は厨房だった。