知らない貴方と、蜜月旅行
「大丈夫ですよ!陽悟さん優しいから、すぐにできちゃいますって!」
「……そうだといいんだけどねぇ。蒼井さんも同じこと思いますか?」


陽悟さんは私の言葉を聞いて、少し笑顔になった。そしてそのままの顔で吏仁にも意見を求めた。


「まぁ、お前次第じゃねぇの?」
「ですよね…」
「お前が変わんねぇと、付き合うことも、結婚もできねぇだろ。それは自分が一番よく分かってんだろ?」
「はい……」


きっと二人にしか分からないことがあるんだろうな。吏仁にもあったように、陽悟さんにも色んな思いがあるはず。よし、私はご飯を作ろう!と、立った時だった。


「蒼井さんも、紫月ちゃんに出会うまでイロイロでしたもんね」
「あ?」


その言葉に私の耳がダンボになり、吏仁は鬼のような顔へと変身した。


「だーかーらー。紫月ちゃんと出会うまで、ですよー。紫月ちゃん、聞きたい?」
「え…」


怖いんだけど…。聞きたい気もするけど、聞かないほうがいい気もする…。


「おい陽悟、」
「蒼井さん、元婚約者と別れてから、気が狂ったように女遊び激しくて、ってイッテェ…。力加減してくださいよ!蒼井さん!」
「うっせぇ!てめぇが、余計なこと言うからだろうが!」
「だって本当のことじゃないですか!次から次へと、よく飽きずにホイホイ女抱けますよねぇ。猿ですか?」
「あぁ?今お前だって、そうだろうが!」
「俺は違います!ちゃんと一人一人可愛がってエッチしてますから!」


なんだこれ…。なんの言い争い…。バカなの、この二人。この話を聞かされて、私は寝室に閉じこもったのは言うまでもない。


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