知らない貴方と、蜜月旅行
「紫月ちゃーん、ごめんってばー。蒼井さんの女遊びは、もうしてないよー。今は紫月ちゃん一筋だってばー。本当に、ちょっと前までが酷かっただけなんだってばー」
「お前、それ全然フォローになってねぇよ」
「いや、だって。じゃあ、嘘を言えばいいんですか?……紫月ちゃん、蒼井さんは童貞だから安心して!」
「お前、アホだろ」


私が寝室に閉じこもってから、二人はこんなやり取りをずっとしていた…。なんか私の存在、どうでもいいと思っていませんか…?


「もう、お前帰れよ」
「えー、なんでですかー」
「邪魔だ、邪魔」
「いいんですかー?俺が帰ったあと、気まずくないです?」
「………」


あ、黙った。やっぱり気まずいんだ。そうだよね、女遊び激しくて、たくさんの女の子抱いてきたって暴露されたんだもんね。


もう過去の話なのにね。私も、なに閉じこもっちゃって…。大人気ないよね…。かわいそうだから、出てあげようかな。


「おい、紫月っ」
「(び、ビックリした…)」
「扉、ぶっ壊すから近くにいんならどけっ」


……今、ぶっ壊すって言った?やだ!ダメダメ!吏仁なら本当にやりそうだし!で、出なくちゃ!!


「あ、出てきた。さすが蒼井さんっすね…」
「だって…ぶっ壊すとか、物騒なこと言うから…」


本当に壊されちゃ、たまったもんじゃないよ。べつに私が借りてる部屋じゃないけどさぁ。


「紫月」
「………」
「……やっぱ、陽悟お前帰れ」
「えー」
「お前がいると、なにもできねぇんだよ」


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