知らない貴方と、蜜月旅行

「最後までしたかったか？」
「……うん」


つい、頷いてしまうと、吏仁は口に手を当て、驚きながらも、どこか照れたような顔をした。


「でも多分俺、手加減できねぇ気がする…」
「……怖いこと言わないでよ」
「俺だって、ずっと我慢してきたんだ。優しく愛せるわけねえだろ」
「そんな……」
「だからよ、」


そう言って、私の耳に唇を近付け、そっと囁く。


「覚悟しとけよ？今までお前が感じたことないくらいに、愛してやるからよ」


……こんなこと言われたら、ますます今すぐに吏仁が欲しくなるよ。私の怪我さえなかったら！なんて、思ってしまう。


「吏仁」
「ん？」
「私、もう寝る」
「は？」


だって、だって、もういっぱいいっぱいなんだもんっ。キスだけで、こんなに欲しくなるなんて、こんなことなかったんだもんっ。


「今日の晩御飯だけは勘弁してください！私もう無理っ」
「お前さぁ、」
「無理なものは無理なの！吏仁のキスは麻薬みたいで、やめられなくなるのっ。忘れられないのっ！もっと欲しくなるのっ！」


自分でも大胆なことを言っていると思う。でも仕方がない。本当のことなんだから。そうして私は宣言通り、晩御飯作りを拒否し、朝を迎えた。