知らない貴方と、蜜月旅行
気にするなと言われたら、気にしちゃうんだけどなぁ…。本当にいいのかなぁ…。なんて思う私をよそに、吏仁は先ほどのお姉さんを手招きした。


「これ気に入ったみたいだから、この指輪にしてもらえる?」
「はい、かしこまりました。なにか文字とかご希望があれば彫ることができますが」
「だって。紫月、どうしたい?」


うーん、どうしたい?と聞かれたら結構悩むかも。だって、彫ったらもう変えられないし、そんな簡単に決められるもんじゃないよねぇ。


「俺が決めて、紫月にプレゼントしてもいいか?」
「えっ?うん、吏仁が決めてくれるなら、楽しみにしてる!」
「じゃあ、ちょっとあっち言ってろ」
「えぇ?もう決めたの!?」
「あぁ」


……なんか、すごく不安なんですけど。でも〝楽しみにしてる〟って言っちゃったし…。仕方ないか。


そうして私は、少しだけ待つことになった。


「よし、紫月。帰るぞ」
「終わったの?」
「あぁ、一週間後に出来上がるそうだ。サイズも確認したし、楽しみだな」
「うんっ、ありがとう吏仁」


一週間後かぁ。本当、楽しみだなぁ。吏仁、どんな文字を入れてくれたのかな。


「なんか、食ってくか?」
「朝ごはん食べたばかりなのに?」
「ちげーよ。ケーキとか好きだろ?」
「ケーキ!うん!食べよう食べよう!!」


私のテンションが上がると吏仁は笑った。そして、吏仁はショートケーキ。私はレアチーズケーキを食べて、少しブラブラしながら家に帰って来た。


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