知らない貴方と、蜜月旅行
なにも言い返すことなんかできない。だって、本当のことだから。怪我が治って一週間が経つのに、キス以上のことをされないことに、すごくモヤモヤしていた。


こんな毎日期待して、自分でもヤバイなって正直思った。ただ、ヤリたいだけの女になってしまう…って。


だけど、不安にだってなるでしょう?手加減できないみたいなこと言っててさ、いざ怪我が治ったら、なにも変わらないって…。


私がおかしいだけなの?それとも吏仁は、我慢させて我慢させて…っていうことをしたかったの?!


「本当は毎日、期待してたんだろ?」
「………」
「俺が仕事行ってる間とか、一人で、」
「バカじゃない!?そんなことするわけないでしょ!!」


いくら期待してたからって、そんなのあるわけないのに!絶対からかってるって分かってるのに、反応しちゃう…。ほら、吏仁笑ってるものっ。


「紫月、選ばせてやるよ」
「な、なにをよ」
「今、15分で俺の思いを受け止めるか。家に帰ってきてから、丸一日かけて受け止めるか。どっちだ」


どっちだ、って…。どんな選択よ!そんなの、答えは決まってるじゃない。


「どっちも嫌!だって15分なんて、適当にされそうだし。かと言って丸一日なんて!私の年考えてよ…」
「俺のほうが年上だっつーの」
「り、吏仁は!慣れてるでしょ!そういうの!さぞ、たくさん女の子抱いてきたんでしょうから!」
「……あったまきた」


私だって言っちゃいけないって分かってた。だからその瞬間、吏仁の顔がイラついたのがすぐに分かった。


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