知らない貴方と、蜜月旅行
「ちょっ、吏仁っ!?」


喧嘩になるのかと思いきや、吏仁は突然私を抱き上げた。当然私はパニックで吏仁の中でジタバタ暴れるも、吏仁はなにも言わず。そして向かったのは、もちろん寝室で…。


ベッドに押し倒され、私に跨った吏仁は、色気たっぷりの声でクスッと笑って言うの。


「いいか、気だけは失うなよ?」
「へっ?ちょ、待って!吏仁!心の準備できてないっ!」
「なに言ってんだよ、一週間前から準備なんかできてんだろ」
「っ、それとこれとは話がべつっ!」
「一緒だ。いいから、もう黙れ」
「っ、」

15分って、すごい。いや、15分がすごいんじゃなくて、吏仁がすごいのか…。攻めてくる場所が的確で、こっちが一息つく暇も与えてくれない。


無駄がなくて、だからと言って淡々とこなす機械のような感じでもなくて…。すごく愛を感じるし、たくさん名前も呼んでくれて。


15分って!なんて最初に思った自分が恥ずかしい。15分でも、じゅうぶんすぎるくらいの愛を受け取ることができるんだ…って、身をもって体験した。


これが丸一日となった時…。少し想像しただけで、怖くなった。それこそ私、気を失うんじゃないのだろうか…。


「ほら、紫月行くぞ」
「ちょ、待って…体が、」
「なに言ってんだよ、帰ったら朝までコースだぞ」
「は?無理!ぜっっったいに、無理!!」
「俺だって無理だ、足りねぇもん」
「………」


本当に、この人の体ってなにで出来ているんでしょ…。あれだけ動いたってのに、足りないって…。怖い、怖すぎる…。


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