知らない貴方と、蜜月旅行
携帯を耳に当て、何度目かのコールで相手が出た。
『はい、ありがとうございます。アムール・チャペルでございます』
「あ、すみません。あの、佐野と申しますが…」
『あっ、佐野様と小西(こにし)様、ですよね?』
「え、えぇ…。あの、それで」
『おめでとうございます!いよいよ、明日ですよね!私たちスタッフ一同、心よりお待ちしておりますので、ステキな挙式になるよう、精一杯努めさせていただきます』
「あ、はぁ……」
どうしよう…やっぱり、キャンセルされてない…。私が困っているのを相手は、もちろん知らずに、どんどん話だけが進んで行く。
『なにか、お困りのことでも、ありましたでしょうか?』
「あ、あの…」
『あ!お客様がお泊りになられるホテル、海側ご用意できたそうですよ。気にされてましたもんね!』
「あ、はぁ…そう、ですね…」
どうしよう…完全、言うタイミングを失った…。少ない脳みそで考えろ!と、自分に言い聞かせるけど、まったく思い浮かばない…。
「あの、じゃあ…明日、よろしくお願いします…」
『はい!こちらこそ、よろしくお願い致します。お気を付けて、いらしてくださいね』
「はい…」
『それでは、失礼致します』
「……」
完全、やってしまった…。アホだ…。なにが〝明日、よろしくお願いします〟だ…。相手もいないのに…。
「お前、バカなの?」
「うっ…」
「相手、どこにいんだよ」
「……どこ、行っちゃったんでしょうね」
ついに〝バカ〟と言われてしまった…。本当にバカだけどさ…。出会って間もない人に、バカと言われるのは、さすがに傷付くよね…。
「どうすんだよ」
「どう、しましょうね…」
「お前は、どうしたいんだよ」
「え?」
『はい、ありがとうございます。アムール・チャペルでございます』
「あ、すみません。あの、佐野と申しますが…」
『あっ、佐野様と小西(こにし)様、ですよね?』
「え、えぇ…。あの、それで」
『おめでとうございます!いよいよ、明日ですよね!私たちスタッフ一同、心よりお待ちしておりますので、ステキな挙式になるよう、精一杯努めさせていただきます』
「あ、はぁ……」
どうしよう…やっぱり、キャンセルされてない…。私が困っているのを相手は、もちろん知らずに、どんどん話だけが進んで行く。
『なにか、お困りのことでも、ありましたでしょうか?』
「あ、あの…」
『あ!お客様がお泊りになられるホテル、海側ご用意できたそうですよ。気にされてましたもんね!』
「あ、はぁ…そう、ですね…」
どうしよう…完全、言うタイミングを失った…。少ない脳みそで考えろ!と、自分に言い聞かせるけど、まったく思い浮かばない…。
「あの、じゃあ…明日、よろしくお願いします…」
『はい!こちらこそ、よろしくお願い致します。お気を付けて、いらしてくださいね』
「はい…」
『それでは、失礼致します』
「……」
完全、やってしまった…。アホだ…。なにが〝明日、よろしくお願いします〟だ…。相手もいないのに…。
「お前、バカなの?」
「うっ…」
「相手、どこにいんだよ」
「……どこ、行っちゃったんでしょうね」
ついに〝バカ〟と言われてしまった…。本当にバカだけどさ…。出会って間もない人に、バカと言われるのは、さすがに傷付くよね…。
「どうすんだよ」
「どう、しましょうね…」
「お前は、どうしたいんだよ」
「え?」