知らない貴方と、蜜月旅行
どうしたい、って…。そんなの決まってるじゃない。亮太がいなくなって、叶わなくなってしまったけれど…。


「そりゃあ、お嫁さんになるのが夢でしたし、明日の挙式、楽しみだったから、したかったのが本音ですよ」
「くだらねぇ夢だな」
「なっ!?くだらないって!そっちが聞いてきたくせに!!」


なんなんだ、なんなんだ!どうしたいのか聞かれたから言ったのに、くだらないって!


「ははっ、悪りぃ悪りぃ」
「そんな笑いながら謝られても、気分悪いだけです」
「まぁ、そんな怒んなよ。で、どこで式挙げんだ?」
「……沖縄」
「あ?」


また、彼の顔が最初に見た時のような、顰めた顔に変わった。驚くのも無理はない。沖縄なんて言われたら、誰だってビックリする。


「当日、8時半に市役所に行って、婚姻届を出して、そのまま沖縄へ向かって二人きりで式を挙げて、海の見えるホテルに泊まって」
「朝まで、ヤリまくるって?」
「は、はぁ!?そんな下品なマネなんかしません!!」
「俺なら寝かせねぇけどな」
「な……」


寝かせないって…。亮太は、そんなことしないもん。ちゃんと私のこと考えくれて、こんな男とは違って優しい人だったもん。


「つーか、二人なんだ」
「え?あ、はい」
「親も来ねぇの?」
「はい。実は、まだウチの親、亮太に会ったことないんです…」
「は?」


そりゃ、こうなるよね…。私だってビックリだよ…。普通は結婚前に顔合わせというものがあって、両家が初めて会うみたいなことを、誰だってやるはずだもの。


「あの、ウチの親かなり変わってまして…。私、もうすぐ33歳なんですね」
「へぇ〜。案外、いってんだな」
「……」


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