知らない貴方と、蜜月旅行
案外ってなによ!案外って!あー、もう!年なんか言わなきゃよかった。


「で、続きは?もうすぐ33歳のお姉さん?」
「喧嘩売ってんですか?」
「いや?事実を言っただけだろが。ほら、早く話せよ」
「……」


落ち着け、落ち着くのよ私。舌打ちしたいけど、ダメ。相手は、かなり手強い男(やつ)なんだから。舌打ちなんか聞かれたら、なに言われるか、わかりゃしない。


「……私が、もういい年なので結婚してくれる男性なら誰でもウェルカムだと。なので、結婚後に報告しに二人で来なさいって」
「はぁん。すげぇ、親もいるもんだな」
「ですね…」
「でも、紹介する相手いなくなっちまったな?」
「……」


傷口に塩って、正にこういうことを言うんだろうな。サラッと言ってくれちゃって。この男(ひと)優しいんだか、そうでないんだか、わかんない。


「で?どうすんだよ、明日」
「……」


そうだよ、明日のこと考えなきゃいけないのに…。今さらキャンセルなんて電話できないよね…。


亮太を探し出す?でも、電話にも出てくれないのに、どうやって探し出せば…。


「なぁ」
「はい…?」
「俺が助けてやろうか」
「え…」


怖い、怪しい…。だって見てよ、あの顔…。自信に満ちた笑み…。絶対なにか企んでる顔だよ、あれは…。


< 29 / 185 >

この作品をシェア

pagetop