知らない貴方と、蜜月旅行
陽悟も言っていたが、今日はクリスマスイブ。陽悟は学生時代の後輩でもあるが、俺の職場の後輩でもある。


なにが悲しくてクリスマスイブに野郎二人が一緒にいたかっつーと、こんな日に社長に呼び出されたからだ。


空気を読めよ!とも思ったが、相手が社長なら文句も言えねぇ。陽悟と二人で、なにを言われんだと思いきや、ただの世間話ときたもんだ…。


べつに、たいして重大な話じゃねぇなら早めに切り上げるぞ。と、陽悟とアイコンタクトをし、22時に寿司屋を出た矢先にコレだ。


これなら、社長と喋ってたほうがマシだったんじゃねぇか。ったく、余計なもん拾ってきやがって…。どうすんだよ、こいつ。


俺の家は職場から歩ける距離にある。朝が少しだけ苦手なために、少しくらい家賃が高くても仕方ねぇ。と、即決めした。


ちなみに陽悟の家も近いが、俺の家のほうが近い。そのために、飲み会の次の日なんかは、遅刻しないようにと、俺の家に勝手に泊まりにきたりする。


ほんと、自由な男で参る。でも、どうしてか学生時代から毎日一緒にいたんだよな、陽悟とは。なんだかんだで、居心地がいいのかもしれねぇ。そして、そうこうしているうちに、家に着いてしまった。


「おっ邪魔しまーす!!」
「おいコラ!靴揃えろよ!つーか、女を靴のまんま上がらすな!!」


……居心地がいいのは、俺の気のせいだったかもな。


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