知らない貴方と、蜜月旅行
そんな二重人格の吏仁は、ズカズカと大きな一軒家に向かって再び歩き出した。〝行くぞ〟と言われてたのだから、当然私もあの家に入らなきゃいけないんだよね?


なにがなんだか、さっぱり分からないまま吏仁に付いて行くと、チャイムも押さずに玄関ドアを勝手に開けた。


「ね、ねぇ…吏仁。ここ、誰ん家…?」
「会えばわかる」


会えばわかるって、私の知ってる人!?いや、でもこんな大きな一軒家に住んでる知り合いなんか知らないし…。


「よぉ、オヤジ」
「おぉ、吏仁か。珍しいな、こっちに帰ってくるなんて」


え、えぇっ!?お、お父さん!?吏仁は、ズカズカとリビングではない部屋のドアを勝手に開けると、中には年配の男性がいて、その男性に〝オヤジ〟と言った…。


「あぁ。紹介したい女がいたから、来たんだ」
「えぇっ!?しょ、紹介って私っ!?」
「あ?お前以外に誰がいんだよ」
「です、よね……」


いや、聞いてない聞いてない!お父さんに会うだなんて、一言も聞いてないし!!てか、吏仁の実家に来ちゃったってこと!?ど、どうしよ…。


「紹介?まさか、吏仁……」
「あぁ。俺ら結婚するわ」
「えぇっ、ん、んんんんー(そんなの聞いてないー)」


あまりの衝撃発言に驚き声を上げると、吏仁に口を手で塞がれた。てか、結婚ってなに!誰がいつ、結婚するなんて言った!?どこでどうなったのよ!


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