知らない貴方と、蜜月旅行
「これまた急だなぁ。どこへ行くんだ?」
「あぁ、沖縄」
「沖縄?海外じゃなくていいのか?」
「あぁ。紫月がどうしても沖縄で式を挙げたいらしくてな」


ちょいー!確かに、亮太とは沖縄で式挙げたいって思ってたよ!でも、なんで昨日会った人と式を挙げなきゃいけないのよ!


「そうかそうか。紫月さんの希望か!こっちのことは気にするな。で、何泊なんだ?」
「あー、紫月。何泊だっけ?」
「え?あっ、えと、2泊3日だけど…」
「だ、そうだ」
「そうか。わかった、大丈夫だ。こっちのことは気にせず、二人で楽しんでおいで」
「あぁ、悪いな」


あぁぁぁあ……なんかドンドン決まっていくんですけどー!お父さん、完全に信じきっちゃってるしィ…。私は私でマジメに〝2泊3日だけど〟なんて、答えちゃったしー!


「そうだ、文世(ふみよ)のところへ行こう!きっと文世も大喜びするぞ!父さん、先に行ってるな!」


文世って、もしかして、もしかしなくても……お母さん?てか、お父さん…浮かれた足取りで出て行ってしまわれたんだけど…。


って!そんなこと気にしてる場合じゃなかった!呑気に隣で首や腕をストレッチしていた吏仁を睨み付け、二の腕目掛けてパンチした。


「なんだよ」
「なんだよ、じゃない!アレはなに!私、結婚するなんて一言も言ってないし、知らない!」
「そりゃそうだろ。言ってないわけだし」
「……おかしいんじゃないの」
「なにが」
「なにが、って…。自分がおかしいって、わかんないの!?」


だって、昨日会ったばっかの人間だよ?例え、運命的な出会いをしたって、翌日結婚なんて決めないでしょうよ。


「なにも、おかしいことなんかねぇだろ。俺が結婚したいと思ったんだ。おとなしく結婚されとけ」
「ば、バカじゃないの!?どうして会ったばっかの女と結婚しようなんて思うのよ!」
「悪いか?」
「悪いっていうか、バカだよ!」


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