知らない貴方と、蜜月旅行
そして、ついに来てしまった……沖縄へ。12月下旬ということもあり、若干肌寒いけど、なにかを羽織ればいいだろう…という気温だった。


ただいまの時刻は1時。式は3時半から。30分あれば、式場には着くはずだから大丈夫。私たちはタクシーに乗ると、行き先を告げ、沖縄の風景を見ながら到着を待った。


「あのさ」
「ん?」


走り出して数分。吏仁に声をかけられ、顔を向けた。


「名前、なんだっけ」
「は?」


名前、なんだっけって、私の?あれ?苗字言ってなかったっけ?でも、婚姻届見てるはずだよね…?


「男の名前だよ」
「え?」


亮太の名前?なんで吏仁が知りたがるの?なんだか、よくわからなくて聞こうとすると、吏仁が答えてくれた。


「あのさ、式場では、お前と男の名前で予約してんだろ」
「あ…」


そうだった!全然、頭になかった…。どうしよう、そうだよ!予約は、私と吏仁の名前じゃないんだっ。


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