Green eyed monster《悲しみに、こんにちは 例外編》
店内に入ってさらに驚いた。
一口に万華鏡といっても奥が深い。
世界各国、様々な万華鏡が立ち並ぶ。
それはもう、米粒ほど微細なモノから
まるで実験器具のようで万華鏡とは一瞬では
気づかないようなモノまで様様だ。
「うわー、綺麗ね、この万華鏡。」
私は手に取った小さめの万華鏡を覗いた。
緑のストーンと青のコマンドが規則的な幾荷学模様を成していた。
「……先輩、それ……」
入家君が驚いたような表情を浮かべていた。
「どうしたの?」
「あっ……いや、先輩に、さっき勧めようとしたヤツだったんで……」
果たして、私たちが入店してから
彼がこの万華鏡を手にする機会があったかどうか疑問に思ったが、
入家君が、あまりに変な態度をとるので
それ以上追及すのをやめた。
「うん……決めた。これ、私、買ってく!」
私は値段が手頃なこと
そして何より思わず気に入ってしまったためか決断は早かった。
「えっ、あっ、じゃあ、俺が買います!」
なぜか焦る彼が私の腕を掴んだ。
「ううん、やめて。ちゃんと気に入って、欲しいって思ったの。
私が買いたいの。」
私は彼の腕を振りほどき、入り口奥のレジに向かった。