Green eyed monster《悲しみに、こんにちは 例外編》
「入家君……?」
帰りは先ほどより重い雪が降りはじめたため私たちは、それぞれ傘をさした。
私の花柄の傘と入家君の黒の傘が何度かぶつかり、その度に彼をみたが
どうも、入家君は私と目を合わせたくないようだ。
「入家君……前にも来てたの?」
しばらく彼は答えなかった。
「……サプライズって上手くいかないですね……」
「サプライズだったの?」
「……先輩と万華鏡の店出たら、遅めのクリスマスプレゼントとして渡すつもりでした……
なのに、先輩……同じのもう一つ、買っちゃうし……」
「……入家君!」
私は思わず立ち止まった。
「……よし!
私が買ったの入家君にあげるから
入家君が買ったの私にちょうだい!
これでクリスマスプレゼント、お互いに渡せるでしょう?」
私は、ニット帽の彼の頭にポンっと手をおき
数回軽く撫でた。
「……なんすか、この手……?」
「うーん、泣かないで?」
「泣いてませんし。」
「じゃあ、良い子良い子。」
「……。」
顔を赤くして少しだけ不機嫌な彼が
なんだか、愛おしく思えたことは 彼には秘密だ。