Green eyed monster《悲しみに、こんにちは 例外編》
「先輩、知ってくれました?」
軽く触れた唇はゆっくりと離される。
「……キスしていいなんて言ってないよ。」
「先輩のくちびるって、思ったより柔らかいんですね。」
「……なんだか、元気になったのね?
機嫌悪かったんじゃなかったの?」
さっきまで、ふてくされていたのが嘘のように 子供のような笑顔になった。
「そりゃあ、押し倒されると思ったんで。案外、先輩もまんざらではないんだなって。」
……ったく、単純な男だ。
「先輩、嫌じゃないんでしょ?」
確かに、入家君は今までの男とは違う。
今までの元彼ならば、抱きついた時点で
投げ飛ばす。虫酸が走るから。
私は、貴方を許してるのだ。
っでも言ってやんない。
「……別に惚れてなんかない。」
「でも、嫌じゃない。」
「……私が許可した時だけ、許してあげる。」
「えっ、キスしていいですか?」
「ダメ。……ほら、万華鏡が濡れてしまう。」
私は手から落ちた傘を広い、何ごとも無かったように歩き出した。
紅い顔を花柄のカサで隠して。