Green eyed monster《悲しみに、こんにちは 例外編》


「そういえば、なんで万華鏡なの?」


冬の冷たい空気は すぐに私の顔色を元に戻してくれた。



「ああ、これが先輩の見てる世界なのかなって。」


……ん?私の見てる世界?



「どういう意味?」



「緑色の目を持つ人って、世界の2%しかいないらしいです。
そんだけ少ないのに、更に日本で会えるなんて、本当、奇跡なんじゃないのかなって。」



「えっ奇跡?」

入家君は先ほどまでと変わって
私の眼をじっと見つめてきた。
私の眼は今日もカラーコンタクトでワザと緑色の眼を隠している。


「もしかしたら、先輩は 世界が緑に見えるのかなって。
俺が見ている世界とは違う世界をみてるのかもしれない。
色のついた世界は万華鏡みたいに綺麗なのかなって、思いました。」



「……。」



「先輩……?」



……入家君……。



「……あっ、いや、……別に緑に見えるわけじゃないよ……」



「いやまあ、そうでしょうけど…
どうしました、先輩?」



こっち見て下さい なんて彼は言うけど
……ダメだ見れるわけがない……



「……俺、先輩の緑色の眼、凄く好きなんです。」



「……入家君……」



「俺、先輩がどんなに隠しても、どんなに嘘ついても、やっぱり好きなんです。」



……やめなさい、入家君……




「先輩が欲しいんで、俺はたぶん嘘もズルもします。
それでも、俺は貴女が欲しい。」



……わかったから
……私も赦すから




「でも、これだけは本当です。
……俺はユズキのことが好きだ。」



「……わかったわよ!!」


ああ、馬鹿だな、わたし……



「……ユズキ先輩、顔真っ赤……」


なんで振り向くんだろう。

ほら、気付かれた。


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