私をみつめて
私をみつめないで
「目をそらさずに俺の事を見ろ」
彼は私が彼から視線をずらした事が気に入らなかった様子で、命令口調でそう言った。
そんな風に言われると、ますます彼の顔を見る事ができなくなってしまう。
「…きゃ」
次の瞬間、私は彼に引き寄せられた。
「俺の事をみろと言っている」
切羽詰まったような彼の声が頭の上から降ってきた。
彼の腕の中に抱かれている私は、恐る恐る顔をあげた。
すると真剣な眼差しの彼と視線が重なった。
私の鼓動はこれでもかという程強く激しく脈うった。
私のこの鼓動が体が密着している彼に、どうか気がつかれませんように…と祈るような気持ちで、私は彼の胸に手をあてると、彼から体を引き離そうとした。
「逃げられると思ってるのか?」
彼は軽々と私のささやかな抵抗を封じ込めた。
「どうして俺から離れようとする必要があるんだ?」
彼はそういうと私の体をすっぽりと自分の胸に抱え込んだ。
「理由を聞かせろといっている」
イラついたような声で問われた。
仕方がなく
「…鼓動をあなたに知られるのが恥ずかしいんです」
私は精一杯の勇気で問いに答えた。
「なんだ、そんな事か」
彼は私の手を取ると、自分の心臓の上に押し当てた。
ー 彼の鼓動も私に負けない位に激しく脈うっていた。
彼は私の瞳をじっと見つめると
「ずっとその瞳で俺の事を見ていただろう?そうだよな?」
切なそうにつぶやいた。
私の胸は締め付けられるような感覚を覚えた。
「…はい」
私が必死にそう答えると
「お前はずっと俺の事だけをみていればいい」
まさか彼からこんな言葉をもらえるとは思っていなった私が目を見開いて驚いていると
「他のやつの事なんか見るな。…俺以外をその瞳にうつすな」
と強く意思のやどった瞳で私の瞳を睨んだ。
「…私はあなた事をこれからもずっと見つめていていいんですか…?」
恐る恐るそう問いかけると
「だから、そう言っている。俺から目を離す事は許さない。ずっと俺だけをみていろ。俺はお前のものだ」
彼ははっきりと言い切った。
彼の視線は、私の全てをみすかしていそうな程深くて、私はその瞳から目を離せなくなった。
どうかこれ以上私をみつめないで。
私の気持ちを暴かないで…
*ぎじプリ企画参加作品です。
オフィスの壁かけ時計を擬人化してみましたが、どうでしょうか…?
彼は私が彼から視線をずらした事が気に入らなかった様子で、命令口調でそう言った。
そんな風に言われると、ますます彼の顔を見る事ができなくなってしまう。
「…きゃ」
次の瞬間、私は彼に引き寄せられた。
「俺の事をみろと言っている」
切羽詰まったような彼の声が頭の上から降ってきた。
彼の腕の中に抱かれている私は、恐る恐る顔をあげた。
すると真剣な眼差しの彼と視線が重なった。
私の鼓動はこれでもかという程強く激しく脈うった。
私のこの鼓動が体が密着している彼に、どうか気がつかれませんように…と祈るような気持ちで、私は彼の胸に手をあてると、彼から体を引き離そうとした。
「逃げられると思ってるのか?」
彼は軽々と私のささやかな抵抗を封じ込めた。
「どうして俺から離れようとする必要があるんだ?」
彼はそういうと私の体をすっぽりと自分の胸に抱え込んだ。
「理由を聞かせろといっている」
イラついたような声で問われた。
仕方がなく
「…鼓動をあなたに知られるのが恥ずかしいんです」
私は精一杯の勇気で問いに答えた。
「なんだ、そんな事か」
彼は私の手を取ると、自分の心臓の上に押し当てた。
ー 彼の鼓動も私に負けない位に激しく脈うっていた。
彼は私の瞳をじっと見つめると
「ずっとその瞳で俺の事を見ていただろう?そうだよな?」
切なそうにつぶやいた。
私の胸は締め付けられるような感覚を覚えた。
「…はい」
私が必死にそう答えると
「お前はずっと俺の事だけをみていればいい」
まさか彼からこんな言葉をもらえるとは思っていなった私が目を見開いて驚いていると
「他のやつの事なんか見るな。…俺以外をその瞳にうつすな」
と強く意思のやどった瞳で私の瞳を睨んだ。
「…私はあなた事をこれからもずっと見つめていていいんですか…?」
恐る恐るそう問いかけると
「だから、そう言っている。俺から目を離す事は許さない。ずっと俺だけをみていろ。俺はお前のものだ」
彼ははっきりと言い切った。
彼の視線は、私の全てをみすかしていそうな程深くて、私はその瞳から目を離せなくなった。
どうかこれ以上私をみつめないで。
私の気持ちを暴かないで…
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オフィスの壁かけ時計を擬人化してみましたが、どうでしょうか…?