たからもの
ママの家族は少し複雑だった。
大家族だけど身内だったり身内じゃなかったり。
そんなところにおじいちゃんは、もうとっくに亡くなった、おばあちゃんのもとに婿入りしたらしい。
お婿さんはよほど肩身が狭かったのだろうか....
おじいちゃんはそこまで擦切らす必要もないのに、かなりマメな人だった。
ママはそんなおじいちゃんを厳格な人なんだといった。
ママのことが嫌いでおっかなくて口うるさいのだといった。
でも私にとってこの病人は大人しい印象だ。
私の前ではいつもそうなのだ。
『孫は目に入れても痛くない』なんていったものだ。
おじいちゃんは優しそうに猫をかぶっている。
ママと二人きりになると怒鳴りあいの喧嘩になるのに。
病院だというのに二人とも大声をあげるのだ。
ちょっとヒステリックな気がする。