たからもの
そのようなことを考えていると、突然おじいちゃんがせき込み始めた。
同時に痰やら鼻水やらが出てくる。
咄嗟に、『汚い』
そんな風に思ってしまうのは私の性格が歪んでいるせいなんだろう。
ママが慌てておじいちゃんを介抱する。
鼻の穴からのびる、鼻くそ付きのチューブがゆれる。
おじいちゃんは苦しそうだ。
早く、早く死んじゃえばいい。
そうすれば苦しい思いなんてしなくて済むのだ。
ママも大変な思いをしなくて済むのだ。
私だって、こんな閉鎖空間に何年も来る必要なんてないのだ。
一石二鳥、いや一石三鳥じゃない!
私はもう、ここにいたくない。