お日さまの笑顔に導かれ

電話を切って少ししたら夏希ちゃんがやってきた


「しょーがねーから、掃除手伝うよ」


「やっぱいい‥掃除しない」


掃除をしたら過去が消えてしまうんじゃないかって。不安になった‥


心機一転って考えたら心を切り替えるってことでしょ?


「陽菜、」


玄関に立ったまま俯いて涙をこらえるあたしを夏希ちゃんは抱きしめた。


「やだっ‥」


「聞け」


夏希ちゃんが強く言った。


「陽菜、切り替えることも必要なんだ。太陽は死んだ。もう居ないんだ」

人間は必ず死ぬ。だから太陽はそういう運命だったんだ

切り替えることと忘れることは違う

太陽は陽菜に笑っててもらいたいはずなんだ。隣にいる奴がたとえ太陽じゃなくても、陽菜が笑っててくれればいいと思ってる。


「陽菜、切り替えろよ。ちゃんと笑えよ。俺だってお前には笑ってて欲しいんだ。担任としてじゃなくて、お前が大切だから。」


夏希ちゃんの言葉は、理解できる。わかってる。こっからさき、あたしは太陽なしで生きていかなきゃいけないってこと。

でも頭ではわかってても心はわかってなかった。夏希ちゃんの言葉はどこか遠くで言っているように感じた。


「離して‥‥」


夏希ちゃんはゆっくりあたしを離した


「きつく言ってごめん。‥陽菜さっき笑ってたから、ついな」

ゆっくりでいいから、太陽のこと区切りつけてほしい‥

そう言った。


「さ!腹へったからめしつくってくれー」


夏希ちゃんは空気を変えようとしてそう言ってくれた。

しかし冷蔵庫には何もなくて、しぶしぶ買い物に行く事にした。
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