お日さまの笑顔に導かれ
「ごめんね、こんな話」
大切な人を失うことの辛さをあたしは充分ってほどしってるから、奏太に悲しい思い出を思い出させてしまったなと、後悔した。
「全然へーき!俺は生憎お前みたいに繊細に出来てないから」
そう言って笑う奏太の横顔は何だか切なかった。気のせいにしといてあげるね‥
「それより腹へったわ」
「あ‥そっか‥何か作るね」
「さんきゅ」
でも冷蔵庫をあけたけどなにもなかった‥。どうしよう‥
ピンポーン‥
するとまた誰かがきた。外にはお鍋を持った夏希ちゃん
「よ!久しぶり」
「うん、久しぶり」
あれから夏希ちゃんとは普通に接してるけど、今までみたいに夏希ちゃんがこの家にくることは少なくなった。
あたしはお鍋に目を移した
夏希ちゃんはそれに気づいて中身を教えてくれた。
「これ、ビーフシチューなんだけど、いる?」
「欲しい!」
佐山家のお母さんの作るビーフシチューは本当に美味しい!
「はは!陽菜これ好きだもんなー」
「うん!」
「‥‥客きてんの?」
夏希ちゃんが靴に気付いてあたしに聞いた。奏太がいるって言っても大丈夫かな?って悩んだけど、言い訳も出来ないから言った。
「奏太‥がいる」
「こんな時間にか?」
「‥‥ちょっと、いろいろあって」
深く突っ込まれたくないんだけど、夕方のことを言ったら夏希ちゃんにまた心配かけるし
「まあ‥んー‥、俺帰るわ。仕事あるし。なんかあったら電話しろ!」
「‥‥わかった」
きっとこないだのこと夏希ちゃんは気にして、前だったら俺が泊まるっていってたはずなのに、今日は帰っていった。