お日さまの笑顔に導かれ


うちに着くと灯りがついていた

「お母さん‥?」


家には誰もいなくて
灯りの灯っているリビングには50000円と置き手紙があった。


陽菜へ
今月の食費とおこずかいです。
お母さんはロスに行くことになってしまったのでしばらくかえれません。お金は陽菜の通帳に振り込みます。

体に気をつけるのよ
何かあったら電話して下さい




しばらくロスですか。
あたしはもう寂しいなんて感じてないのかもしれないな。

手に持っていた50000円を握り締めた。



――――ピンポーン

鳴ったインターホンにびくっとしながら玄関に向かった。


「陽菜っ!」


そとには奏太。


「なんでっ!?」

思わず口に出さずにはいられなかった。奏太は風邪で寝込んでて、その上春花さんだって来てたのに‥


「わりっ‥、ちょっと休まして」


「うん!お水っ‥」


あたしはコップにミネラルウォーターをくんで奏太に持っていった。


「わりぃー‥‥ふぅ‥」


奏太は落ち着いたみたいだった。


「ごめん陽菜。」


「大丈夫だよ」


「ちがくて‥嘘ついてた」


そっちのことかって思ったけど今はそれどころじゃない。


「‥‥あぁ‥それよりっ」


「聞いて」

奏太はあたしの目を見つめて言った。


奏太はなんのために嘘をついたの?そしてさっきの言葉は何?


「春花は‥交通事故で記憶を亡くしてるんだ。」


「‥え?」


「記憶喪失ってやつ。俺のことも覚えてないし、人格すら前とは変わってる。俺の中では死んでたも同然。」
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