お日さまの笑顔に導かれ

春花さんは記憶喪失で奏太のことも忘れてる。春花さんの中の奏太は事故の後の奏太。

だから、事故の前の奏太との時間は覚えてないし、当然今も友達のまま。


「わらっちゃうよな‥あんなに一緒にいたのに。忘れられるなんてさ」


遠くを見つめた瞳をあたしは見ていられなかった。胸がくるしくなって、鼻の奥がツンって痛くなる。


「でも、その程度の存在だったんだよな‥」


「‥‥」


何も言えなかった。好きな人に忘れられてしまうのは‥どれくらい辛いのだろう。


「‥まあ‥もうすぎたことだしな。嘘ついて本当に悪かった」


あたしは奏太を見つめて流れ出しそうな涙を必至にこらえることしか出来なかった。



「泣くなよ‥」


「泣いてない!」


「うそつき」


「それは、奏太でしょ」


「そうだけど」



うつむいた顔を上げると奏太がすぐ近くまできていて、あたしの顔を両手で包んだ


「笑って‥‥」


切ない顔をしてあたしを見つめる奏太を、愛おしいと思ってしまった
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